川中努BLOG

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  • ミッションを持つ人との出会いが増えてきた 2021年03月08日

    こんにちは。川中努です。

    昨年2020年は新型コロナ感染拡大の影響によって、飲食店を主たるお客様に抱える当社も大きな変化・変容の波に飲まれた一年でした。

    4月にこの島根で初めてのコロナ感染者が、当社もテナントビルを所有する、松江の繁華街・伊勢宮町で報告されてから、飲食店のお客様は一斉に休業に入り、またテナント賃借人の方たちからは、何かしらの支援策を求める声や、退去の申し出が一斉に出ました。

    またお酒の注文は止まり、スタッフが手を余してしまう場面も生じました。

    そんな時に、私が持った直感が「生産性を落とすな」という言葉でした。これは、30代の頃に経営を学ばせていただいた、京セラ名誉会長の稲盛和夫さまの主宰される「盛和塾」で習ったことだったと思います。

    私の記憶ですが、石油ショックか何かの時、不景気がやってきた京セラも製造が急に落ち込んだことがあったようです。その際に、社長だった稲盛さんが行ったことは、製造は少なくなるので、その分余った人員を日頃できない工場の営繕や美化活動に回し、生産性を落とさないようにされたのです。

    つまり、受注が少なくなって製造が止まり、そのまま人員を余してしまい、みんなで仕事を分け合う形を取ってしまうと、いざ景気が回復し製造が戻った時に、なかなか元の生産性に戻すことができなくなるという教えを思い起こしたのです。

    そこで、私はみんなと協議し、2019年に閉店し様々なものが残置されたままのサケパラ跡の片付けと、テナントビルの営繕や清掃を配達の止まっている期間に行うことに決めました。

    160坪もあるサケパラ跡の片付けは、効率的かつお金をかけないようにすると、かなりの時間を要したのですが、これもちょうどFacebookで使わないものを譲渡するようなグループを思い出し、そちらへ呼びかけることで、必要とする方へサケパラ跡へ取りに来ていただき、ちょうど注文が止まっていたお酒も“よろしければ”ということで値引き販売したところ、かなりの方たちに購入していただきました。

    そうして片付けを進めているところで、直感が当たり6ヶ月間の短期賃貸のお話をいただけたのです。お陰でコロナ禍で減少した収入を補うことができました。

    そうしながらも、長期的なテナントさんを募集するための営業をするために、がらんどうになった建物を撮影して、何パターンかの賃貸案を作成し、YouTubeで私がナレーションをつけてご案内を始めました。

    すると、その映像をご覧になって声をかけていただいた先があったのです。

    松江の橋南、松江南高校前で3年前から体操教室を運営されていたフレアー体操クラブさまでした。

    交渉の過程は省略しますが、フレアーさんと無事契約を締結することができ、当社も建物を間仕切る工事に入り、この度3月に無事グランドオープンをされました。

    フレアーさん

    また幸運なことに、試練の続く飲食テナント物件にも久しぶりの朗報が入ったのが、昨年の秋のことでした。

    地元の不動産業者さま2社のご紹介により、東京より巨人のシチューハウスさまが内見に来松され、トントン拍子で契約に至ったのです。

    アランさん

    オーナーのアランさんは、アイルランドのご出身なのですが、日本人の奥さまと一緒に東京でレストランを経営され、コロナ禍の緊急事態宣言を受け店舗営業が困難になったことを機に、お店の商品のシチューやソーセージ、そして輸入卸をしているアイルランドのビールをネット販売したところ、かなりの売上をあげることに成功され、ストックスペースの地代が安い地方への移住と事業展開を検討されていたとのことです。

    この松江は『怪談』で有名な文豪・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の暮らした街として、アイルランドとの結びつきの深い場所です。そこへ着目したアランさんご夫婦は、なんとこの松江に移住し、お互いのビジネスを展開するということを決意されたのです。

    この週末3月6日にアランさんのお店「巨人のシチューハウス松江店」は無事にオープンいたしました。

    実はこの過程で気づいたことがあったのです。お二人ともされている事業は違うのですが、共通していることがあるのです。

    それは、両者ともミッションに従って生きていらっしゃるということです。

    つまり、事業する上で「なんのためにするのか」という目的を、しかもかなり意識の深いところから出されたのであろう“こうしたい”ということ、言い換えれば“何がどうあれば、自分は幸せを感じながら仕事をすることができ、その結果人に貢献できるのか”というが言語化できている方たちではないかと私は思うのです。

    フレアー体操クラブさんは「島根からオリンピック選手を輩出すること」がミッションです。

    アランさんは「母国を誇りに思い、アイルランドの食と文化を日本の人々に届け、情熱を注ぐ」をミッションに掲げています。

    コロナ禍は様々な試練とともに、私たちに重要な問いかけをしてくれているように感じます。

    それは「何を」「どのように」するのかの前に、「何のため」するのかという質問です。

    今まで、経営理念や社是を持っている多くの企業も、それは果たして経営者の意識の深い部分から出たものかというと、必ずしもそうではなく、社会的に良いとされていることや、代々引き継がれてきた言葉、しかしそれは現経営者のそれとはかけ離れたものと形骸化していることが少なからずあると思っています。

    それでは、今までのやり方が通用しにくい、この先の不確実な時代に生き残ることは難しくなってきていると私は考えています。

    この1年で直感に素直に従い、それぞれの価値観は違えども、共通してミッションを持つお客さま(同志)と出会えたことは、何かを暗示しているような気がしてなりません。

    そういう意味で、パラダイスコーポレーションとして、次のフェイズに入っていく時が近づいてきていることを感じます。

    その直感を大切にしながら、片方で当社のミッション「つながりを生み出す」ための戦略も組み立てながら、新しい2021年度に航海を始めていこうと思います。

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