川中努BLOG
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蔦屋家電視察にて思ったこと
2015年07月16日
こんにちは。川中努です。
先日東京へ出張へ行ってきました。
複数の目的を持っていったのですが、その中の一つが二子玉川にできた「蔦屋家電」を視察することでした。以前東京に暮らしていたときには、ニコタマ”(二子玉川)にはたまに来ていたのですが、こうやって駅に降り立つのは実に17年ぶりくらいだと思います。駅から見た多摩川の風景はあの頃とそんなに変わっていない気がしたのですが...
改札を出てからの風景はビックリでした。
当時、二子玉川と言えば、一番大きいのが高島屋でその他は割と小さいけどいい店が点在しているという印象でしたが、駅前の再開発が進みライズという大型ショッピングセンターができていました。
その中の核になるのが蔦屋家電です。
HPによると
ここは、「ライフスタイルを買う家電店」です。
BOOK&Caféの空間で、様々なライフスタイルを提案します。家電だけでなく、日々の生活をもっと刺激的にしてくれるインテリアや本、雑貨などを販売する、アート&テクノロジーに満ちた場所です。と書かれています。
レンタルビデオのTSUTAYAを中心とした事業が「エンターテインメント」、そして蔦屋書店や蔦屋家電が「ライフスタイル提案」という位置付けのようです。
店内には本といっしょに関連性のある様々な家電が展示されています。
例えば、ハワイの特集をしている雑誌の横でアロハシャツが販売されていたり、ヨガの本の横でヨガマットが販売されていたりと...つまり、単に本や家電をモノとして販売するのではなく、Experience(体験)もいっしょにできてしまうというコトの提案です。
また異なるものが合わさることによって、新たな切り口や視点が生まれてきます。
ワインセラーといっしょにワイングッズが販売される。そしてワインセラーを購入したら、いいワインでセラーを埋めたくなる。そこでワインのセミナーが開催され、同時にその場でワインが販売される。
またはワインのセミナーに参加したら、いいセラーが欲しくなるというパターンもあると思います。
ある雑誌でこんな話を読みました。
数々のIT企業が誕生しているアメリカのシリコンバレーでの話。地元では有名なカフェでは、毎日異なる業種や会社の技術者たちが、コーヒーを飲みながら熱心に議論をしている光景が見られるということです。中にはその場で、プログラミングを始めたりするときも。
人は無意識のうちに自分の思考に枠を設けることがあります。それは社会性を保ち、集団の中で生活するという古代から遺伝子の中に組み込まれてきたものだと思いますので、悪いことばかりではないのですが、反面それは新たな挑戦や変化を拒んでしまうことにもつながります。
特に現代の先進国では、社会が成熟し物質的に満たされている人が大半を占めています。そのような社会では、モノがなかなか売れないという現象が起きます。つまり、モノの供給量が必要とする人の数、ニーズを上回っている状況です。そんなときに求められるのがイノベーションです。イノベーションは前述の限定された思考の中では起きにくいものです。例えば、私たちが身を置く酒販業界の中でも「お酒ってこういうもの。」という限定された思考が少なからずあると思います。
そこでイノベーションを起こすには、異なる性質のものが恊働することが求められます。お酒とは全く違う業種の人とのコラボレーションをしてみる。そんなプロセス自体が、新たな視点を与えてくれ、知覚・認識の領域を広げてくれます。今回の蔦屋家電を視察する中で、大手企業ながら果敢に新たなイノベーションに挑戦する現場を見ることができました。今までは、中小零細企業の得意技とされる小回りをきかせる分野もどんどんとやってきている感じがします。そんなことを考えながらの視察でした。